オープンデータ活用による地域課題解決を目指す「アーバンデータチャレンジ2025」キックオフ・イベントが開催

オープンデータ活用による地域課題解決を目指す「アーバンデータチャレンジ2025」キックオフ・イベントが開催

アイデアソンやハッカソン、エディタソンなどの開催でコミュニティを形成

地域課題の解決を目的に、イベントやコンテストを通じてオープンデータや活用ツール、アイデアなどの創出に取り組むプロジェクト「アーバンデータチャレンジ2025(UDC2025)」(主催:社会基盤情報流通推進協議会、東京大学空間情報科学研究センター、東京大学生産技術研究所、東京大学デジタル空間社会連携研究機構)のキックオフシンポジウムが6月6日、東京・駒場の東京大学駒場第2キャンパスおよびオンラインでのハイブリッドで開催された。

UDCは2013年度から始まったプロジェクトで、2025年度のプロジェクトのスタートを宣言する今回のイベントには、UDCの全国各地の拠点で活動する自治体関係者やNGO関係者、エンジニア、研究者、プランナーなど幅広い人々が参加した。初めに、UDCの実行委員長を務める東京大学空間情報科学研究センター 教授/AIGID代表理事の関本義秀氏が本年度のUDCの趣旨説明を行った。

UDCは、地域課題の解決を目的に、各地域での年間を通した持続的なイベント開催と、一般参加型によるデータ活用のコンテストを融合させた取り組みで、コンテスト賞金総額は200万円以上にのぼる。地域拠点は公募による活動計画書を提出することで、都道府県ごとに1カ所が認定され、活動経費の支援を受けられる。このような取り組みにより、年間を通じた各種イベントの開催により持続的なコミュニティの形成や成長を目指している。

今年度は各地の高校や大学との連携も開始し、連携校では学生のコミュニティ形成や年間を通した学生支援、活動証明書承認も行われる。2025年度の連携校は、立命館守山中学・高等学校、芝浦工業大学柏中学高等学校、共愛学園前橋国際大学、神田外語大学の4校が決まっており、このほか1校が加わる予定となっている。

関本教授は、「最近は大学でのデータサイエンスや高校での地理教育、探究学習など学生が主体的に学ぶ機会が増えていることもあり、地域拠点の活動だけでなく学校単位で取り組んでいただくことは学生にとって良い機会になると思います。毎年数校ずつ連携校を増やしていくことにより、5~10年で大きい取り組みになると良いなと考えています」と語った。

UDCでは「道路・交通」「河川・港湾・上下水道」「まちづくり・都市計画」「医療・健康」など10の特定テーマを定めて活動し、年度ごとに重点分野を決めて関連機関や関連学会との連携を進めている。2025年度の重点分野は「住宅・土地・公園・公共施設」「防犯・防災」の2つで、重点分野についてはコンテストの審査において優遇措置を受けられる。このほか、特別賞として「BODIK賞」「GTFS賞」「JACIC賞」などが用意される。

10のテーマを設定

2025年度の地域拠点は南北海道、岩手、宮城、埼玉、千葉、神奈川、新潟、富山、石川、岐阜、静岡、愛知、京都、奈良、岡山、広島、徳島、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の22拠点で、これらの拠点ではシンポジウムやワークショップなどさまざまなイベントが開催される予定だ。

第1部ではこのほかに、東海大学の富田誠教授(東京大学CTDI客員研究員)による「デザインの視点からみるデータの力をまちの力に」と題した講演や、国土交通省都市局 国際・デジタル政策課の企画専門官を務める十川優香氏によるPLATEAUに関する講演、立命館守山中学・高等学校の箭内健副校長によるUDC学校連携に関する講演も行われた。

第2部では、UDCの地域拠点によるこれまでの活動報告および2025年度の取り組みの発表が行われた。冒頭では埼玉ブロックによる発表が行われた。埼玉ブロックでは、毎月1回、予約不要の相談会「ちいさなデジタル相談室」を開催しており、市民や行政担当者からのさまざまな悩みに応えて課題解決のイベントなどを開催している。埼玉ブロックはUDC2024でベスト地域拠点賞を獲得したため、UDC2025の中間シンポジウムを10月25日に埼玉会館(さいたま市)にて開催する予定で、中間シンポジウムでは市民のオープンデータ活用をテーマとした内容となる予定だ。

このほか、神奈川や宮城(仙台)、長崎、岩手、広島、千葉など各地域拠点による活動報告や2025年度の取り組みの紹介が行われた後、特別賞の紹介や、データ提供・支援拠点の国立国会図書館や、協力団体である一般社団法人コード・フォー・ジャパンなどによる発表も行われた。

UDCは今後、2025年度末にかけてコンテストの開催に向けてさまざまな取り組みを全国各地の拠点で実施する予定で、2025年12月25日にかけてコンテストの作品募集が行われ、2026年2月21日のファイナルステージにて審査結果が発表される予定だ。

アーバンデータチャレンジ
http://urbandata-challenge.jp/

※記事中画像はキックオフイベントYouTube Live画面キャプチャより