OSMマッパーが集う恒例イベント「State of the Map Japan 2020」がオンラインで開催

OSMマッパーが集う恒例イベント「State of the Map Japan 2020」がオンラインで開催

自由な地理情報データを草の根の力で作る世界的プロジェクト「OpenStreetMap(OSM)」をテーマとしたカンファレンス「State of the Map Japan 2020(SOTMJ2020)」が11月7日にオンラインにて開催された。

各国のOSMコミュニティが開催している年次イベント“SOTM”の日本版であるSOTMJは、日本におけるOSMの活動を支える法人組織「オープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン(OSMFJ)」が主催している。日本では2012年にOSMの国際カンファレンス「State of the Map Tokyo」が開催され、その後、日本版カンファレンスの第1回が東京で2014年12月に、第2回が浜松で2015年10月に、第3回が東京で2016年8月に開催された。その後、2017年8月に会津若松での国際カンファレンスを経て、その翌年の2018年8月に東京で日本版カンファレンスの4回目が開催された。今回は5回目の日本版カンファレンスとなる。

今回のSOTMJは、OSGeo財団(The Open Source Geospatial Foundation)日本支部が主催するオープンソース地理空間ソフトウェアのイベント「FOSS4G 2020 Japan Online」との共同開催となり、両イベントの開催を盛り上げるために、プレイベントとしてオンライン上でハッキングやマッピングを行う「Geoweek and Weekend 2020」も開催された。

SOTMJのイベントの中では、両イベントの合同講演も行われたほか、全国各地のマッパーによるOSMマッピングの報告やOSMを活用した活動報告、新技術の発表などが行われた。今回はこれらの講演の内容についてレポートする。

【基調講演1】
The Past, Present, and Future of OpenStreetMap Japan ~ 一億総伊能化は実現できるのか ~
スピーカー:古橋大地氏(青山学院大学教授/NPO法人クライシスマッパーズ・ジャパン理事長/MAPconcierge株式会社代表取締役)
青山学院大学の古橋大地氏

日本におけるOSMのマッピング活動や普及活動に早くから取り組んできた古橋氏は、OSMのこれまでの歩みについて振り返った上で、OSMのユーザーコミュニティに関する統計情報を可視化するサービス「OSMstats」のデータをもとに現在の状況について語った。

OSMアカウントの数は2020年時点で700万を超えており、最近のアクティブユーザーの状況を見ると、週末に作業している人よりも平日に作業しているマッパーが増えてきている。この状況は平日よりも週末に作業する人のほうが多かった数年前と比べて逆になっており、これは仕事としてOSMに関わっている人が増えていることが理由であるという。

OSMをビジネスに活かしている企業の中で主導的なのは、FacebookやMicrosoft、Mapbox、Grab、Amazon、Appleなどで、これらの企業とどのように関わるかがOSMコミュニティの課題となっている。古橋氏はこのような状況を踏まえて、昨年からMapboxとOSMコミュティのミートアップイベントを開催するなど、OSMコミュニティと企業との連携に取り組んできた。

古橋氏は現在のOSMの課題として、日本国内で求められている地図データの粒度や精度を考えると、まだまだOSMだけではカバーしきれておらず、ゼンリンなどの地図データが使われることが多いことを挙げた。一方で、Mapboxの地図データについては、日本国内でも一部の地物はOSMデータを使用していることを例に挙げて、OSMの地図データはほかの地図プロバイダーの弱点を補完する存在になるのがいいのではないかと語った。

一方、OSMの喫緊の課題としては、日本国内ではまだ建物フットプリントが十分に整備されておらず、これをいかにコンプリートするかという問題を挙げた。これを解決する手段として、国土地理院ベクトルタイルや地方自治体のオープンデータのインポートを進めるとともに、災害発生時のクライシスマッピングやドローン撮影による超高解像度航空写真を使ったマッピングなどによって補うことを提案した。

さらに、企業とのコラボレーションにより、AIを活用したマッピングの技術を採り入れたり、教育現場での活用を進めたり、地域においてコンペティションやリーダーボードを拡充したりすることなどもアイディアとして提案した。

「2023年くらいまでに建物のフットプリントがコンプリートされると、その先が広がっていくのではないかと想像しています。そのためには、コミュニティに入ってくる人と出て行く人のバランスの中で“動的平衡”をいかに維持するかが大事で、学生の参画促進やクライシスマッピング、他分野との連携などを繰り返していくことで新しい人たちがどんどん入ってくるようなコミュニティになるといいと思います」(古橋氏)

古橋氏は、「昔からOSMは“Have fun”、つまり楽しんで活動するのが重要で、このマインドを忘れてはいけないな、ということはいつも考えています」と締めくくった。

【State of the Map Japan 2020/FOSS4G Japan 2020 Online 合同講演】
オープンソースでつくるオープンソースっぽい地図の会社の挑戦
スピーカー:宮内隆行氏(株式会社Geolonia 代表)
Geoloniaの宮内隆行氏

OSMデータを基盤とした地図を提供するGeolonia。以前はCMSの開発に携わっていた宮内氏がGeoloniaという地図の会社を作れたのはオープンソースの存在が大きく、現在の同社のビジネスは数千以上のオープンソースプロジェクトやオープンデータによって成り立っている。宮内氏はこのようなオープンソースの世界にきちんと恩返ししていける存在になりたいと考えており、GeoloniaはOSMコミュニティに新しいコントリビューター(貢献者)を呼び込み、さらなる多様性をもたらす企業になることを目指している。

宮内氏は2020年6月に、日本の住所の正規化に取り組んだことをブログで報告し、今後、正規化用のライブラリをオープンソースにして公開していく予定であると述べたところ、不動産テック協会から連絡があり、「不動産ID」を共同で開発することになった経緯について説明した。

現状の不動産情報には共通して利用できる通し番号などがないために、住所や物件名で物件を特定しており、「三丁目」と「3丁目」といった表記揺れが発生しやすく、しかも各企業が個別に情報を保有していることが課題になっている。そこでGeoloniaと不動産テック協会は共同で、不動産の基盤データを構築する取り組みを開始した。

宮内氏は、“不動産IDの構築”を実現するための方法として、オープンソースというアプローチがすばらしい方法であると語る。

「オープンソーシング(オープンソース化すること)という選択肢を、不動産業界があらかじめ選んだ上で弊社に問い合わせたというのは非常に興味深く、このような素敵な話に関わることができて、はりきって取り組んでいます。まだまだ解決しなければならないこと、検討すべきことがありますが、プレスリリースで発表した“来年中”という当初の予定よりは前倒しで実現できそうな見通しです」(宮内氏)

宮内氏は最後に、オープンソースで今後やりたいこととして、「プルリクエストやIssueに対して対価を支払える仕組みを作ることで、プロダクト開発をOSS(オープンソースソフトウェア)のようなワークフローにしたい」、「地番住所を扱えるジオコーダーを作りたい」、「国連ベクトルタイルツールキットにもっと貢献したい」「OSMのマッピングを促進する仕組みを開発したい」といったさまざまな抱負を述べた上で、このような活動への協力を呼びかけた。

【スポンサーセッション1】
北海道からOSMサービスを展開する 謎の組織に加入したらいつの間にか マッパーになっていた件について
スピーカー:井口奏大氏(株式会社MIERUNE)

北海道を拠点にOSMやQGISなどのオープンソース/オープンデータをビジネスの中心に位置付けて、地理情報に関するさまざまなサービスやシステムを開発しているMIERUNEは、OSMデータをベースとした地図タイル配信サービス「MapTiler.jp」およびMapTilerをQGISで利用できるプラグインを提供するほか、最近ではジオコーディングサービス「MIERUNEサーチ」のテスト公開も開始した。

MIERUNEサーチは住所やPOIの検索が可能で、POI検索についてはOSMの属性情報を活用している。北海道士別市出身であるエンジニアの井口氏は、MIERUNEサーチのテスト中に、地元の母校3つのうち2つに名前が付いていなかったことに気づき、人生初のOSMマッピングを行ってみた。ブラウザ内エディタを使ってOSMデータを編集し、アップロードするだけで、いつも使っているOSMの地図に自分の成果が反映されるのはとても楽しく、その日は夜中まで地元のマッピングをしてしまったという。

「自分の生活圏でも、まだまだコントリビュート(貢献)する余地があることがわかりました。OSMデータの充実は、MIERUNEサーチのような、それを活用するサービスの品質向上につながります。弊社はOSMのエコシステムの一員として、ただ利用するだけでなく、コミュニティの持続可能な発展のため、今後もスポンサーなどの形で、継続してサポートさせていただきたいと思います」(井口氏)

MIERUNEサーチ
【スポンサーセッション2】
日本のタイルサーバの現状
スピーカー:松澤太郎氏(Georepublic/OSMFJ/OSGeo.JP)

FOSS4Gやオープンデータを活用したさまざまな位置情報関連のソリューションを提供するGeorepublic社のエンジニアである松澤氏は、OSMの現在のコミュニティ向けサーバーおよび新しく構築しているサーバーについて講演した。

現在のサーバーは、tile.openstreetmap.jpというドメインで配信しており、日本の単位でアップデートをかけている。このサーバーはインフラがかなり古く、地図のレンダリングスタイルも古いままとなっており、ラスタータイルだけしか提供できていない。

これに対して、現在構築中の新しいサーバーであるtile2.openstreetmap.jpは、2018年から研究を開始している。同サーバーはさくらインターネットの「さくらのクラウド」を利用しており、すでにOSM Japanのコミュニティサーバーについては移行済みとなっている。

ベクトルタイルの配信については、松澤氏はすでに仕事で実績があり、日本のエリアだけを作成するのであれば問題ないものの、Planet(世界中)をインポートするには最低1TBものストレージが必要なため、ダイレクト配信に挑戦したが、総容量1TBに加えて差分更新しようとしたら間に合わないという問題が発生してしまった。これを解決するためにPostgreSQLを2系統用意してスイッチする手もあるが、その場合はストレージが最低2GBは必要となり、予算の関係でマシンのスペックが落ちてしまう。

そこで松澤氏は試行錯誤した結果、配信とタイル作成でサーバーを分けることにして、AMD Ryzenを使ったタイル作成サーバーを構築した。松澤氏はこのサーバーを実家に設置し、電源をスマートスピーカー経由でリモート操作可能にした。この結果、OpenMapTilesの最後のタスクであるベクトルタイル作成が2倍以上パフォーマンスアップしたという。

一方、配信サーバーはSSDを500GBにスペックダウンすることで、20コアCPUおよび64GBメモリが使えるようになった。現在は日本地域に対応しており、Planet単位については現在実家のサーバーで構築中だという。「構築手順などはすべて公開予定で、Planetのタイルについても、生成できたらそれ自体を公開する予定なので、タイルサーバーをどんどん作っていただきたいと思います」と松澤氏は語った。

最新のサーバー構成図
【一般発表】
■マッピングパーティーを開催しよう!
スピーカー:山下康成氏

マッパーが集まって一緒にOSMの地図を作るイベント「マッピングパーティー」を2013年から継続して行っている山下氏による講演。京都の世界遺産17カ所をコンプリートしたマッピングパーティーや、東京赴任時に毎月開催していた街歩きマッピングパーティーなど、これまで行ってきたイベントを紹介するとともに、マッピングパーティー開催のノウハウについても解説した。

マッピングパーティーはイベント当日のスムーズな進行のため、初心者には事前にソフトウェアのインストールやOSMアカウント作成、経験者には地物の事前トレースなどをお願いすることが重要であり、こうしておくことで当日はマッピングに集中できる。イベント当日は未経験者のマッピングストーリーを決めておき、目立つ建物の名前を地図に書いた達成感を味わってもらった上で、案内板のノードの新規追加などステップアップに挑戦してもらうことにしている。また、イベント終了後も、調べた情報をもとに最後までマッピングを行い、それによって地図が完成した達成感を味わうことが重要であると語った。

マッピングパーティーの様子
■A vision to make OSM data the backbone of history across time and space
 - Introduction to HTGCL –
スピーカー:大塚恒平氏(Code for History)

IT技術を使って歴史学的な課題の解決を目指すコミュニティ「Code for History」を立ち上げた大塚氏は、古地図を歪めることなく現代地図と自然に重ねられるオープンソースの地図ビューワー「Maplat」を紹介した。同技術は地図の中心点だけでなく方角や縮尺を合わせることも可能で、何度地図を切り替えても元の場所に戻る点が特徴となっている。

さらに最近では、Maplatの機能のひとつとして、“点”だけでなく道路や川などの“線”も正確に変換できる技術を開発し、それに用いるGISでの新概念として「HTGCL(Historical Topographic Ground Control Line)」も提唱した。同概念や技術を活用することで、現代地図であるOSMの道路ネットワークデータや河川ネットワークデータを軸にして、さまざまな時代の古地図の道路や河川の位置を相互に関連付けることが可能となり、たとえば「昔は川だったところがいつから道路になったのか」「この新しい道はいつできたものなのか」といった地図の歴史的な変化の分析を、機械的に行いやすくできる可能性がある。

OSMの地図データを軸にさまざまな時代の地図を関連付けることが可能になる
■日本にマッピングを広げる為に
スピーカー:吉田涼香氏、八尋舞美氏(YouthMappersAGU)

青山学院大学地球社会共生学部・古橋研究室内で結成されたチーム「YouthMappersAGU」の紹介。現在は3年生が4人、2年生が2人の6人で活動している。同チームはインスタグラムを使ってミーティングや活動内容、マッピングの方法などを周知することにより、日本のマッパーを増やし、世界中のマッパーと交流することを目指している。

これまでの活動内容としては、被災地のマッピングプロジェクトを支援する「Hot Tasking Manager」への協力や、JICAのサイトにある情報をGIS化する「Geo for JICA」、バリアフリー情報をマッピングする「Wheelmap」のワークショップなどに取り組んできた。また、普及活動としては、「MapSwipe」や「Missing Maps」の日本語化や、TED×AoyamaGakuinUへの出演、定例会議のグラフィックレコーディングやOSMの紹介マンガ、YouthMappers紹介動画などをインスタグラムで発表している。今後は青山学院大学付属高校でのマッピング指導や、他大学・他団体との交流なども目指している。

定例会議のグラフィックレコーディングをインスタグラムで発表
■Code for Kusatsu活動紹介
スピーカー:奥村美佳氏(Code for Kusatsu)

滋賀県草津市を拠点として、2016年1月にスタートしたシビックテックコミュニティ「Code for Kusatsu」について紹介。同コミュニティでは2017年8月にマッピングパーティーを初めて開催した。草津市では、子どもの飛び出しを防ぐための看板「飛び出し坊や」が街中に設置されており、奥村氏がOSMの活動を始めたのは、この看板の状態を確認するために子どもと一緒に街中を歩こうと思ったことがきっかけだった。

このときのイベントでOSMマッピングの楽しさを知った奥村氏たちは、その後もマッピングパーティーを継続して開催し、マッピングの講習会やウィキペディアタウンなどさまざまなイベントを行ってきた。また、昨年度からはオープンデータのコンテストイベント「アーバンデータチャレンジ」や、草津市の「ひとまちキラリ」活動助成などの支援も受けており、今後も引き続き活動を続けていく予定だ。

草津市を拠点に多彩なマッピングパーティーを企画
■お城マッピングでuMapやってみた。
スピーカー:和田清人氏

日本100名城や続日本100名城のマッピングに取り組んでいる和田氏による“お城マッピング”の魅力の紹介。枡形虎口や馬出、石垣、空堀など城郭特有の地物をOSMの地図に反映し、現在は日本100名城のうち71城、続日本100名城のうち51城のマッピングを完了している。さらに、オープンソースのツール「uMap」を使って、お城マッピングの実績を地図にしてみたことも報告。城郭の位置にピンを置いて、ピンをクリックするとウィキペディアのリンクやウィキメディア・コモンズの写真を見られるようにした。

城郭特有の地物をOSMの地図に反映
■OmegaTで、OSM Wikiを快適に翻訳しよう
スピーカー:三浦広志氏(OSMFJ)

OSMコミュニティのナレッジベース「OSM Wiki」は、OSMの基本情報やタグの付け方、ツール、イベントページなどさまざまな情報が収録されており、マッパーなら誰でも編集できる。同サイトの日本語版の整備はまだ不十分なため、三浦氏は翻訳作業の協力を呼びかけている。ツールとしては、国立情報通信研究機構(NICT)のウェブ翻訳プラットフォーム「みんなの自動翻訳TexTra」のほか、プロ翻訳者向けの翻訳メモリ(TM)プログラム「OmegaT」などを提案している。

OSM翻訳プロジェクトはGitHub上でチームプロジェクトが公開されており、5年前からJOSMやWikiなどの翻訳成果が翻訳メモリとして蓄積されている。OmegaTを使って翻訳すると、過去の翻訳成果を参照しながら作業できる。OmegaTとTexTraを使うことで、先人の翻訳成果を活用しながら高速に翻訳することが可能となる。

翻訳メモリプログラムのOmegaT
■日本のOSMデータ作成とMapperの時系列推移
スピーカー:瀬戸寿一氏(東京大学空間情報科学研究センター)

日本のOSMデータに関わったMapper(マッパー)の推移と、OSMデータの作成状況に関する分析を紹介。日本国内を編集したOSMマッパーの月次推移を見ると、最初の大きな波は2011年3月期の東日本大震災に関わるマッピング(月間484人)で、2016年4月には月間1000人を達成し、2019年10月には月間最多の2922人を達成したことがOSMのアーカイブデータからわかった。

一方、OSMにマッピングされたものに関する時空間的な推移について、OSMデータを時空間的に集計できる「ohsome」というツール(API)を使って調べると、建物データについては右肩上がりに増えてきていることがわかった。また、道路系データについては、2013年にヤフーから入手したものをインポートしたときに急激に増えて、以後も量が増えている一方で、インポートしたデータそのものは徐々に新しいデータに置き換わっていることがわかった。同様に施設・店舗データは、2011年以降に何回か急増の波があると同時に、マッピングパーティーなどが盛んに行われるようになり増えているのではないかと指摘した。

瀬戸氏はohsome APIについて、「研究目的で分析するだけでなく、自分たちの街や地域において、どのようなところをマッピングしていくか、方向付けをコミュニティで考える上でも便利なツールだと思うので、ぜひ使ってみてください」と語った。

OSMのデータを時空間的に集計できるohsome
■オープンデータソンのご紹介!
スピーカー:坂ノ下勝幸氏(諸国・浪漫)

参加者が集まってオープンデータを作り上げる活動「オープンデータソン」について紹介。ウィキペディアとOSMの両方を編集するイベントの名称として使われることが多いオープンデータソンは、各地でさまざまなイベントが開催されており、地域情報を記録・公開して将来に残したり、地域に魅力を感じてもらったり、オープンデータを活用した活動を増やしたりすることを狙いとしている。

オープンデータソンの成果としては、ウィキペディア記事やOSMの地図データが充実すること、図書館、行政、シビックテッカーなどさまざまな立場の人が出会う場となることなどが挙げられる。坂ノ下氏は、地域の魅力を残す方法として、地域情報をオープンデータとして公開することが有効であるとして、そのための手段としてオープンデータソンの開催を提案している。

一般発表の終了後には、OSMに関するさまざまな話題を紹介するライトニングトークや、OSMをテーマとしたパネルディスカッションも行われた、パネルディスカッションでは、「地域色豊かなOSMトーク~地元での活動-地図を作る使う、これからのOSM」と題して、北海道から九州まで日本各地のマッパーが集まり、OSMの今後の整備や品質向上、マッパーをいかに増やすか、といったさまざまな話題について議論が行われた。

クロージングでは、OSMFJの理事を務める坂ノ下勝幸氏が登場し、「今日一日、開発者や地元のマッパーの方など、色々な立場の方々から話をお聞きすることができました。このような様々な立場の方達から話を聞くことができる場をState of the Mapとして提供できたことが一番の収穫だったと思うし、今後のみなさんの活動のヒントになればいいなと思います」と語った。