国土地理院、全国の標高基準を表す「ジオイド2024日本とその周辺」の試行版を公開

国土地理院、全国の標高基準を表す「ジオイド2024日本とその周辺」の試行版を公開

標高・ジオイド高・楕円体高の関係(出典:国土地理院ウェブサイト)

国土地理院は3月27日、標高基準を表す「ジオイド2024日本とその周辺」の試行版を公開した。

「ジオイド2024日本とその周辺」(試行版)は、重力データをもとに構築したジオイド・モデルで、公開するデータファイルには、衛星測位の高さの基準である楕円体高からジオイド(標高の基準)までの高さを表す「ジオイド高」が記載されている。同データと衛星測位で得られる楕円体高と組み合わせることにより、迅速かつ高精度に標高を求めることができる。

公開するのは北緯15~50度、東経120~160度の範囲で、日本の領土、領海および排他的経済水域(EEZ)を含む。空間分解能は緯度1分~経度1.5分(約2km間隔)で、ファイルフォーマットは ISG-format(version2.0)を採用している。

2011年に公開した「日本のジオイド2011」は、重力データを用いて構築した重力ジオイドと、GNSS測量および水準測量から得られた実測ジオイドと組み合わせて構築していたが、「ジオイド2024 日本とその周辺」(試行版)は重力データのみを用いて構築した重力ジオイドであり、地殻変動や水準測量の累積誤差の影響が含まれていない。

国土地理院は、現在測量で用いている標高成果について、2024年度末に衛星測位を基盤とする最新の値へ改定し、長年の地殻変動で累積した海面と標高とのずれを解消する予定で、今回はその試行版となる。

また、「ジオイド2024日本とその周辺」の正式版の公開にともなって、GNSS観測で得られる楕円体高と「ジオイド2024日本とその周辺」により直接標高が得られる新たな測量手法「GNSS標高測量」を2024年度末に導入する予定だ。さらに、「ジオイド2024日本とその周辺」と全国の標高成果改定により、高さ方向にも地殻変動を補正する仕組みを導入できるようになるため、正確な標高を効率的に決定できるようになる。

「ジオイド2024日本とその周辺」(試行版)
https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/buturisokuchi_202403.html