オープンデータ活用による地域課題解決を目指す「アーバンデータチャレンジ2021」キックオフ・イベントが開催

オープンデータ活用による地域課題解決を目指す「アーバンデータチャレンジ2021」キックオフ・イベントが開催

実行委員長の関本義秀氏(画面右)

さまざまな地域課題の解決を目的としてイベントやコンテストを通じてオープンデータやその活用ツール、アイデアなどの創出に取り組む「アーバンデータチャレンジ2021(UDC2021)」のキックオフシンポジウムが6月30日、YouTube Liveにてオンラインイベントとして開催された。

UDCは2013年度からスタートした取り組みで、社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)および公益社団法人土木学会、東京大学空間情報科学研究センター、東京大学生産技術研究所、東京大学デジタル空間社会連携研究機構が主催している。「デジタルでつなぐ、データ活用型コミュニティを考える」と題した今回のイベントには、UDCの全国各地の拠点で活動する自治体関係者やNGO関係者、エンジニア、研究者、プランナーなど幅広い人々がアクセスした。

初めに、UDCの実行委員長を務める東京大学生産技術研究所准教授/AIGID代表理事の関本義秀氏が本年度のUDCの趣旨説明を行った。

UDCは、地域課題の解決と地方自治体を中心とする公共データを結びつけて、各地域での年間を通した持続的なイベント開催と一般参加型によるコンテストを融合させた取り組みで、コンテスト賞金総額は200万円にのぼる。全国の都道府県ごとに1カ所ずつ地域拠点を認定し、年間を通じて各種イベント開催を実施して、持続的なコミュニティの形成や成長を目指している。

UDCは2019年度から第2期がスタートしており、「道路・交通」「住宅・土地・公園・公共施設」など10の特定テーマを定めて活動している。年度ごとに重点分野を決めて関連機関や関連学会との連携も進めており、2021年度の重点分野は「河川・港湾・上下水道」「防犯・防災」の2つとなっている。

2021年度は30拠点以上が参加

「2020年度はコロナ禍により、拠点活動や作品応募数は少し減りましたが、そのような状況の中で、イベントのオンライン開催やリアルとのハイブリッド開催、Slackによるアジャイルコミュニケーション、データ基盤の積極的活用など、物理的な距離を超えて各地域がオンラインでつながれる方法を模索しています」(関本氏)

Slackによるアジャイルコミュニケーションについては、メールよりもコミュニケーションをすばやく行えるチャットツールを採用することで、参加者同士が気軽に相談できるカルチャーへの変化を促すとともに、テキストのみではく多様なデータを気軽にやり取りできる環境の構築を目指している。

このような新しいコミュニケーションの事例として、山形拠点でオープンデータコンテストが開催される際に宣伝の仕方についてSlackでアドバイスを求めたところ、遠く離れた佐賀拠点からすぐに助言を貰えたことや、岐阜拠点でUDCに参加する複数の拠点のロゴマークを作ったところ、Slackで他の拠点からも要望があり、すぐに28拠点のロゴマークが完成したことなどが紹介された。

28拠点のロゴマーク

UDC2020では、コロナ禍という状況の中、延べ57回のイベントがオンラインなどで開催された。2021年度の地域拠点は30拠点以上を予定しており、これらの拠点ではシンポジウムやワークショップなど引き続きさまざまなイベントが開催される予定だ。また、昨年度に引き続いて「土木学会インフラデータチャレンジ2021」との共同開催による連携イベントも実施する。提供データについても、2020年度に引き続いて道路関連や公共交通、河川、気象、工事、点群などさまざまな分野のデータが利用可能となっている。

■新潟市で中間シンポジウムを開催予定

第2部では、UDCの2020年度の活動報告および2021年度の取り組みなどの発表が行われた。ここではUDC2020でベスト地域拠点賞を獲得した新潟ブロックの発表として、大学連携新潟協議会ビッグデータ・オープンデータ活用研究会の主査であり、新潟大学工学部教授の山崎達也氏が発表した。新潟ブロックの2021年度の取り組みとしては、新プロジェクトとして新潟大学内に「データ駆動イノベーションプロジェクト」を発足させて、社会の課題解決につながるデータ活用法を検討する。また、秋には新潟にてUDCの中間シンポジウムの開催も予定している。

「データ駆動イノベーションプロジェクト」が発足

山崎氏に続いて、UDC2020で金賞を受賞した新潟ブロックの「チーム ガタリコ」の遠山功氏も発表した。同チームは主婦のための生活情報アプリ「ガタリコ」を提供している。新潟では、LOD(リンクトオープンデータ)の「越後データプラットフォーム」を独自に構築して新潟に関連するデータを収集・利活用する取り組みを進めており、ガタリコはその利活用事例のひとつとなる。

生活情報アプリ「ガタリコ」

このほか、各地域拠点のメンバーによるオンライン座談会や、データ提供・支援拠点のひとつである国立国会図書館による発表も行われた。UDCは今後、2021年度末にかけてコンテストの開催に向けてさまざまな取り組みを全国各地の拠点で実施する予定で、2022年1月末頃にかけてコンテストの作品募集が行われ、年度末のファイナルステージにて審査結果が発表される予定だ。

アーバンデータチャレンジ
http://urbandata-challenge.jp/

※記事中画像はキックオフイベントYouTube Live画面キャプチャより