オープンデータで地域課題解決や魅力創出を目指す「アーバンデータチャレンジ2024」ファイナルステージが開催

オープンデータで地域課題解決や魅力創出を目指す「アーバンデータチャレンジ2024」ファイナルステージが開催

実行委員長の関本教授

地域の課題解決や魅力創出を目的にオープンデータや活用ツール、アイデアなどの創出を目指すプロジェクト「アーバンデータチャレンジ2024」(主催:社会基盤情報流通推進協議会、東京大学空間情報科学研究センター、東京大学生産技術研究所、東京大学デジタル空間社会連携研究機構)のファイナルステージが3月8日(土)、東京大学駒場リサーチキャンパスおよびオンラインのハイブリッドで開催された。

アーバンデータチャレンジ(UDC)は、地方公共団体発のオープンデータや社会インフラに関する情報収集・情報配信の環境を整備して、データを活用したツールやアイデアを作品として仕上げるプロジェクトで、2013年度にスタートした。全国の都道府県単位で地域拠点を認定し、ワークショップなどのイベント開催を通じて持続的なコミュニティの形成・成長・横展開に取り組むことを目的としている。さらに、地域拠点の活動によって創出されたアプリケーションやデータ、アイデアなどを表彰するコンテストも行われる。

今回のファイナルステージは今年度の同プロジェクトを締めくくるもので、コンテストに応募された作品の中からファイナルステージに進出した作品の発表が行われ、最終的に応募された作品の中から最終審査会により優秀作品を決定した。

作品発表に先立って、UDC2024実行委員長を務める東京大学空間情報科学研究センターの関本義秀教授が挨拶し、本年度の取り組みやコンテストの応募状況などについて説明した。

UDCでは様々な分野で課題を掘り下げていくために、「まちづくり・都市計画」「道路・交通」など10の分野を設置し、重点分野を毎年決めて各業界と連携しながら進めている。2024年度の重点分野は「河川・港湾・上下水道」および「生活・文化・地域アーカイブ」で、重点分野についてはコンテストにおいて優遇措置を受けられる。

2024年度の地域拠点は28となり、コンテストの応募作品数は162作品で、このうち153作品が一般部門、9作品がビジネス・プロフェッショナル部門への応募だった。部門ごとの内訳は、アプリケーション部門が55作品、データ部門が26作品、アイデア部門が63作品、アクティビティ部門が18作品。分野別では、重点部門となった「生活・文化・地域アーカイブ」が70作品と多く、次に多かったのが「防犯・防災」だった。

2024年度の作品応募状況

続いて、UDC2024の一次審査通過作品のプレゼンテーションが行われた。今年度、一次審査を通過したのはアプリケーション部門が9作品、データ部門が5作品、アイデア部門が3作品、アクティビティ部門が5作品で計22作品となり、これらの作品に対して参加者からの投票が行われ、投票結果および審査員による評価をもとに優秀作品が選出された。受賞作品は以下の通り。

【一般部門・金賞】

■ヒヤリハットから作成するバリアフリーマップ
(新しい学校のLiDARズ)
https://hiyari.dronerice.jp/

ヒヤリハット調査を用いてバリア箇所を把握し、潜在的な危険を可視化したバリアフリーマップを作成する取り組み。日本大学のキャンパス内においてヒヤリハット調査を実施してバリア箇所を特定した上でバリアフリーマップを作成した。まずヒヤリハットの抽出のため、学生や教職員、守衛あわせて172名にアンケート調査を実施し、ヒヤリハットの発生日時や天気、具体的な体験、場所について聞き、バリア情報を組み込んだマップを作成した。

バリア箇所の調査では、iPhoneのLiDARを用いて段差や階段の幅を点群データ化するとともに、摩擦計に靴底を想定したゴムを取り付けて、雨で濡れた状態と乾いた状態の2パターンで計測を行った。これらの結果をもとにバリア箇所を可視化したヒートマップを作成した。

マップを見ると、AED付近や避難経路の近くにヒヤリハットの件数が大きいことがわかり、緊急時にヒヤリハットによる2次災害が発生する恐れがあることが判明した。この調査をもとに、既存のバリアフリーマップに代わるものを学校側に提案するとともに、雨の日の転倒防止策として入口のマットを設置したり、折りたたみ傘を入れる傘袋を設置したりする提案も行った。

【一般部門・銀賞】

■名大生・山高生によるデータを利活用した観光まちづくりin飛騨高山
(さるぼぼ)

飛騨高山において観光まちづくりのための“データの地産地消”に取り組むプロジェクト。観光エリア13カ所にAIカメラを設置して通行量データの収集と地域での活用を推進し、地元の人との協創による成果は2022年度の冬のDigi田甲子園でベスト8に選ばれる成果を収めて、今年度は更なるデータの地産地消に取り組むためにデジタルに強い地元高校生との連携を始めた。

飛騨高山高校では授業時間内に大学院生のサポートのもと通行量データの分析に取り組み、データ活用スキルを学んだ。行政職員や観光関係者とのワークショップでは、高校生がデータ分析を担当し、市の施策の効果を明らかにするなど、市のまちづくりにも貢献した。また、高校生が自作した人流センサーを観光施設に設置するなど、高校生によるデータの地産地消にも取り組んでいる。

このほか、地域住民が気軽に相談できる「高校生デジタルサロン」や、高山市の事業者に向けた勉強会、ICTを活用したまちづくりワークショップなども開催。今年度からは多くの事業者が参加する「飛騨高山deluxe推進官民連携プラットフォーム」が設立され、今後は同プラットフォームで活動を広げていく予定。

■PhotoBot
(AI Photographer)
https://protopedia.net/prototype/6397

運転中にカメラを操作できないドライバーの代わりに、いい景色を自動検出して写真を撮影してくれるアプリ。景観に関わるデータセットを統合的に活用してオリジナルのデータセットを作成し、これを使ってオリジナルの「いい景色判定AI」を開発。Web APIは使わず、軽量なAIアルゴリズムのため、山中のドライブなど携帯圏外でもオフラインで使用できる。AIの精度は現時点で90.33%と高い精度を実現している。

使い方は、ドライブ前にAIを起動し、カメラに前方が映るように設置するだけで、いい景色の写真が簡単・安全に記録される。AIにより自動撮影された写真とドライブルートが地図上にプロットされ、ドライブごとに確認することもできる。また、景色のデータを地図上で可視化・分析・活用する仕組みとして、「PhotoBot景色MAP(仮称)」も運用し、新しい地域アーカイブのデータセットとして活用する。

■岐阜ロゲ ver.3
(岐阜aiネットワーク)
https://www.gifuai.net/

スマートフォンアプリを使って制限時間内に街中や山野に異なる特典で多数設置されたチェックポイントをまわり、得られた点数を競うスポーツで、町おこしと障がい者支援の実証実験プロジェクトとして行っている。「お買物ポイント」を設けて店舗へ誘導し、協賛する企業へのフィードバックを行い、観光に最適なデータとアプリを構築することを目標としている。2024年度からは第1ステージでは過去開催地でのセルフロゲを展開し、第2ステージは従来型のイベント形式ロゲを実施。これは日常的に使える「観光ナビ」としての実証実験として行っている。

FC岐阜とのコラボレーションでは、ロゲイニングで駐車場の分散化を図り、バス乗車で点数を得られる仕掛けを試みた。また、生成AIとGTFSによる岐阜ロゲの改善も図り、GTFSからバスの運行情報を取り込んで、ランと公共交通機関を組み合わせた最適ルート選択を実現した。このほか、視覚障がい者用ナビの研究開発として、ガイドヘルパーシステムの開発にも取り組んでいる。

■ぼうさいパッカーン
(プレイ&サバイブ)
https://motohasystem.github.io/adc2024_bousai_packaaaaarn/

災害リスクの理解と予測を促進するウェブアプリケーションで、災害関連死を減らすことを目的としている。「家屋」「コミュニティ」「情報」「お金」などカテゴリごとに細分化してヒアリングし、スコアリングすることができる。ヒアリングの質問は研究チームが入力した質問をリアルタイムに反映することが可能で、生活再建リスクの啓蒙につながるデータ収集基盤を実現しており、平時から使用することで災害発生時にどのような支援を行えるかを考えられる。企業・行政・研究者が連携してもっと支援が必要な人に届くようにすることが大事であると考えており、このアプリを防災の未来を変えられるアプリとして活用していきたいと考えている。

■和光市こどもの居場所オープンデータ
(和光こどもの居場所会議)
https://www.city.wako.lg.jp/kosodate/1000009/1011603/index.html

子どもの居場所の情報が複数に点在し、情報が必要な子育て世帯に届きづらいという課題を解決するため、和光市の4団体が協働して、子ども食堂やプレーパークなど子どもが安心して過ごせる居場所をオープンデータ化した。データの収集はシビックテックにより、Googleフォームで情報を募集した上で、電話で住所などを確認し、オープンデータフォーマットの項目数に整理した上で位置情報を付与した。位置情報の付与にはCSVアドレスマッチングサービスで緯度・経度を求めて、uMapを使って手作業で位置を修正した。

和光市はこれらのデータを整理した上で埼玉県オープンデータポータルサイトにて公開し、公開したデータを用いてTableauでマップ上に可視化した上で和光市のウェブサイトでも公開した。居場所情報が統一されたことで多くの人が目にしやすいものとなり、学校において印刷物の配布やデータ送信なども行った。

【一般部門・銅賞】

■デジタル地球儀
(斎藤仁志氏)
https://digital-globe.netlify.app/

世界の国々や地形の情報を手軽に楽しめるウェブアプリケーション。各国の位置や国旗がわかる「世界の国々」や、山や川がわかる「世界の地形」、ケッペンの気候分布を表した「世界の気候」、地域の気温や降水量の違いを可視化した「世界の気温・降水量」、世界中で観測された地震の位置を可視化した「世界の地震」など、さまざまな種類の地球儀から選択できる。WebGLを用いた地図表示ライブラリ「DECK.GL」や官民のオープンデータ、中学校時代の学習教材を活用して開発した。

■人流ハック ~データで遊ぶ都市体験~
(Team Bullstone Eagle)
https://board.ssml.jp/?place=4https://board.ssml.jp/?place=4

人流データを身近に感じてもらうために、センサーの機能を逆手に取った遊び方を提案するプロジェクト。佐賀の中心市街地に設置されたデジタルサイネージでは、年代や性別ごとの通行人数を1分間隔で記録しており、記録したデータは人流データとしてダッシュボードから誰でも利用できる。この人流データを使って、大通りの目立つところにライトを設置し、前日の通行量に応じて光り方が変わるようにした。

例えば前日の通行量が1000人を超えたときは派手に点灯し、50代未満の人が多いときは赤く、50代以降が多ければ青く光る。このほか、ブロックで人流データのグラフを作る子ども向けワークショップや、香りや味、音に変換するアイデアも検討しており、このような取り組みを通じて、佐賀を“データを身近に感じられる街”にすることを目指している。

■廃食油回収アプリ「ナビッシュ」の提案 ~捨てない未来の新エネルギー~
(Microbe Bridge)

SAF(持続可能な航空燃料)の普及のため、廃食油回収にAIを活用して回収を行うプロジェクト。廃食油タンクにセンサーやカメラを搭載し、満タンに近付くと通知されるシステムを構築した上で、AIを利用してタンクの場所と回収量をもとに最適な回収ルートを計算できるアプリを開発する。廃食油を効率的に回収することで、作業時間の短縮化や人員の削減、経費や環境負荷低減にもなる。現在、廃食油や髪の毛、ペットの毛、食肉加工業者から回収した羽毛などを資源ゴミとして回収するシステムの構築にも取り組んでおり、バイオ燃料化を推進している。

■地方移住支援アプリ「移住シミュレーション」
(近藤恵介氏)
https://keisuke-kondo.shinyapps.io/migration-simulator-jp/

地方創生の移住支援事業を支援するウェブアプリで、主に自治体の政策担当者をサポートする目的で開発された。現在、地方移住を促進するために支給される移住支援金の事業が各自治体において手探りな状態で進められているため、移住支援金の金額に応じた潜在的な政策効果を事前に評価できる仕組みを考えた。理論モデルを構築して、移住政策によって何が起こるのかをシミュレーションすることが可能で、縦軸に移住費用/移住便益、横軸に居住年数を設定したグラフを使って移住モデルを可視化できる。移住費用の推計は国勢調査の市区町村間の移住データをもとに算出している。

■広島県におけるデータ利活用の取り組みについて
(チームDoboX)
https://hiroshima-dobox.jp/index2

広島県では、公共土木施設等に関する情報を一元化・オープンデータ化して外部システムとのデータ連携を可能とするシステム基盤「Dobox」を2022年から運用しており、災害リスク情報や土木施設情報、災害記録、法規制情報、3次元データなど約100種類・550データが利用可能となっている。2024年12月からは不動産・住宅に関する情報として、徒歩圏内の施設充実度や空き家件数、マンションの管理状況の詳細、緑の割合などの情報も提供している。

行政だけでなく民間とも連携を図りながらさまざまな取り組みを行っており、そのひとつとしてProject PLATEAUと連携したハッカソンを開催したり、安芸高田市と連携してコミュニティバスのGTFSデータを公開したりしている。また、データ利活用に関する取り組みとして2025年2月にはオープンデータを活用した作品を表彰するコンテスト「Doboxデータチャレンジ」を開催したほか、多くの大学の講義に参加してハッカソンやアイデアソンを開催した。

■柑橘類産地としての持続性の維持・向上のために
- 支援ツールとしての地形データ等を活用した3DWebGIS -
(平方啓介氏)

大崎下島(広島県呉市)において、柑橘類生産における担い手の減少・高齢化による耕作放棄地の拡大や生産量減少などの課題を解決するため、持続性の維持・向上を支援するツールとして3DWebGISを開発した。耕作地の平均傾斜度や日当たり状況、園地整備の平坦化のしやすさの予測、冷気だまり発生の危険エリアの予測などの情報を提供し、樹木等も含めて3Dで可視化できる。

柑橘畑は全部で3000筆のデータを収録しており、地図上をクリックすると属性データが表示される。地域の関係者や耕作従事者、地元JA等、自治体などが課題への対応、施策の実現化などを目的に探索・検討・共通認識・合意形成を図るために活用できるほか、地域外の人も収納や移住候補者、加工販売等事業者、来訪者への情報提供にもつながる。

■おでかけ提案アプリ まちマッチング
(高木健太氏)
https://machi-matching.net/

地域での新しい発見を支援するアプリで、知らない街へ気軽に訪問したいユーザーと、地元を活性化したい地域をマッチングすることを目的としている。検索条件の入力画面では、目的地の代わりにテーマを入力し、目的地候補はテーマにあわせてランダムに提案することにより、偶然の出会いによる“わくわく感”を演出する。エリア情報はおすすめスポットを画像と解説付きで紹介し、経路検索機能は5つの移動モードに対応し、遅延状況もリアルタイムで確認できる。レンタルバイクの貸出状況も調べることが可能で、サイクルポート間の経路検索も行える。また、経路上の寄り道スポットを提案する機能も備えており、訪問するエリアを追加で確認できる。

■内水氾濫常襲地における被害予測
(NDDF)
https://nddf.dronerice.jp/

過去の水害記録と最寄りのアメダス地点の積算雨量をもとに今後予想される浸水被害をシミュレーションする取り組みで、今回は埼玉県西部を流れる葛川(荒川水系)の下流域を研究対象とした。この地域には、高麗川・越辺川を含めた三川の合流部があり、大雨時にはバックウォーター現象が発生しやすく、数年に一度の頻度で水害が発生している。また、流域内の大規模な開発による土地利用の変化も水害の要因のひとつとして考えられる。

被害予測のために、過去の被害を再現して実際の浸水被害の規模と積算雨量の関係を数値化した。今回は浸水被害後の画像データやシミュレーションデータ等の被害跡の境界から算出し、その平均値を浸水時の最大水位として、実際の標高との差分から浸水深を計算した。これらの結果を用いて、浸水量と積算雨量をもとに相関を求めると、強い相関関係があることがわかり、今後発生する可能性のある被害をシミュレーションできる。

■「もちコレ」を活用した「お餅トッピングパーティ」の実践
(Special Omochi Team)

宮城・岩手・奈良の餅好きがコラボレーションした取り組みで、UDC2023では全国各地の餅の食べ方を投稿できるアプリを作成し、今年度は実践フェーズとして、お餅の新たなトッピングを創造する「お餅トッピングパーティ」を開催した。これら2回のイベントで合計40種類の食べ方が登録された。今回の取り組みにより、餅のポテンシャルの大きさに気付くとともに、参加者属性の裾野を広げられる効果や、ITツールおよびアプリ作成のハードルを下げられる効果にも気付いた。今後はこのパーティをパッケージ化して展開することも検討している。

■ぽいくる(Poicle)
(チームぽいくる)
https://dev.poicle.window-grapher.com/

GTFS-RTに基づいた通知システムで、設定した駅・停留所で通知を送る機能と、海が見える場所で通知を送る機能の2つの機能を搭載している。通勤時の寝過ごしや飲み会で終電を逃すことなどを防止するのに利用できる。交通機関の実際の遅れにあわせて通知することが可能で、列車やバスのリアルタイムの車両の位置を通知できる。スマートフォン以外にWebhookにも対応し、色々なサービスと連携できるようにした。たとえばSwitchBotと連携して電車やバスの位置情報に基づいて家電を動かしたり、社用Slackに通知を受けたりするといった使い方が可能。

このほか、この日にはプレゼンテーションが行われなかった「千葉移住サポートデータ」(小林侑生氏)も一般部門の銅賞を受賞した。

【ビジネス・プロフェッショナル部門・最優秀賞】

■SAGAスマート街なかプロジェクトの議論支援システム群
(ソシアノッター+白松研)
https://smart.saga.jp/

佐賀市の中心市街地をAI/IoTなどの技術やデータ利活用を通じて利便性を向上させて、過ごしやすい街を創ることを目的とした実証プロジェクト。AI仮想市民を相手に気軽に議論の練習を行える「議論シミュレータ」、議論音声をもとに内容をリアルタイムに構造化して可視化する「対面議論の構造化システム」、佐賀に対する意識や意見を収集するための「意見収集用インタビューbot」の3つのシステムを提供する。

議論シミュレータは、AI仮想市民の人物像の知識源として、佐賀市が公開するPDF文書を利用し、シミュレータを使って練習することで実際の議論への参加ハードルを低下させることを目指している。対面議論の構造化システムは音声認識結果からLLMで課題や解決策を抽出して構造化・可視化を行うことにより、記録が不要となり議論に集中することができる。

【ビジネス・プロフェッショナル部門・優秀賞】

■みんなの自主防
(新規事業開発部)
https://www.jishubou.net/

金庫メーカーの株式会社熊平製作所(広島市)が新規事業として立ち上げた防災事業で、広島県インフラマネジメント基盤のオープンデータを活用し、地域住民や地域防災組織、基礎自治体などに向けて情報や支援ツールを提供する。インターネット上に点在する情報をもとに、小学校区ごとに地域に特化した気象情報や防災情報、河川カメラ画像や雨量情報などを提供するほか、自主防災組織が情報発信できる掲示板の機能も備えている。

同アプリは広島県のDoboXと連携しており、GIS情報を取得して独自アルゴリズムでウェブサイトを自動生成している。2024年11月に広島地方に避難指示が発令された際には、平時の40倍のアクティブユーザーが確認された。自主防災組織へ直接使い方を説明したり、小学校の防災教育でアプリを紹介したりと、さまざまな取り組みを行っている。

■『インフラすごろく』
~インフラツーリズムのラストワンマイルを解決して、すごろくをめぐるようにインフラめぐり~
(サイバーズ株式会社)
https://infra.sugoroku.com/

ダムや発電所、空港などさまざまなインフラ関連施設を調べられるアプリで、地図を見ながら目的地を探し、目的地に到着すると訪問記録のスタンプを押せる。訪問した履歴をもとにほかの施設をリコメンドする機能も搭載している。インフラ施設は不便な場所にあることが多いため、バス停やシェアサイクルステーションの情報も収録し、複数の交通手段を乗り継ぎながら移動できる。今後は地方自治体とインフラ事業者の連携によるインフラ施設の見学ツアーなど地域おこしに役立てるほか、身近なインフラの管理者や連絡先を収録することで故障・破損などを発見した利用者が報告できるようにすることも検討している。

■AIを活用した地域資源の発掘と地域助け合いネットワークの構築
(ソシアノッター+白松研+ぼらみみより情報局)

ウェブ上から有用な情報を自動収集して目的の団体を見つける仕組みとして「地域助け合いネットワーク」を構築するプロジェクト。AIの情報収集能力を活かしてウェブから支援者や団体の情報を抽出する仕組みを開発し、自然言語で入力すると情報が記載されているウェブページを見つけて教えてくれる。AIが見つけたページに対して、AIが再び内容を分析して、その中から必要な情報だけを抽出できる。

さらに、収集したデータを活用するためのアプリとして、AIに関連施設などを提案させる「ボラみみ助け合いマッチング助手」というアプリも開発した。アイデアを入力すると、AIがそれに対する可能性の案を提案し、そのアイデアを実現するためにはどのような施設と連携すればいいのかも提案してくれる。このアプリは実際に福祉関係者に試してもらったところ、多くの好評価が得られた。

■駅キャラFILES
(ユース鉄道研究会)
https://linkingopendata.com/ekichara/report.html

全国の駅の特徴や文化を表現した“駅キャラクター”の情報を集約したデータセットで、駅ごとのキャラクターを活用して観光や地域活性化に役立てられる。駅キャラクターは駅員や近隣の学生がアイディアを出して創作されることが多く、駅施設内のポスターなどで掲示するだけで公式ウェブサイトは無いことが多い。駅キャラクターのデータを活用することにより、駅を盛り上げることで新しい地域コミュニティ形成につながる。ユース鉄道研究会は小・中・高・専門学校の乗り物好きが集まる団体で、駅キャラクターのほかにも発車メロディや副駅名、駅そば・駅ラーメンなどさまざまな情報のオープンデータ化を推進している。

このほかに、「GTFS特別賞」や「土木学会賞」、「審査委員長特別賞」、「学生奨励賞」などの表彰も行われた。また、今年の活動で最も優れた地域拠点に贈られる「ベスト地域拠点賞」には埼玉拠点が選ばれた。なお、ベスト地域拠点賞を受賞した拠点は翌年度のUDCにおいて中間シンポジウムの会場となるため、UDC2025の中間シンポジウムは埼玉で開催される予定となった。

※記事中画像はキックオフイベントYouTube Live画面キャプチャより