国土地理院が4年間にわたる航空重力測量を終了、全国の標高基準を2023年度中に試験公開

国土地理院が4年間にわたる航空重力測量を終了、全国の標高基準を2023年度中に試験公開

標高基準の起伏を表した試作図(出典:国土地理院ウェブサイト)

国土地理院は5月24日、2019年度から4年間にわたって実施した航空機による重力値の測定(航空重力測量)を終えたことを発表した。

航空重力測量は、航空機に精密なバネばかり(航空重力計)を搭載し、バネの伸びからその地点の重力値を測定するもので、2019年7月から2023年5月の約4年間、日本全国を10km間隔、高度1500~5000mで飛行して測量を行った。総飛行距離は13.9万kmで、総測線数は598本、総飛行時間は1316時間に及ぶという。

全国の標高は近代測量開始から150年の間、東京湾平均海面を基準(0m)とした水準測量によって決められてきたが、水準測量は迅速性に欠けることから、衛星測位で迅速かつ容易に標高を求められるようにするために、国内で初めて航空重力測量が行われた。航空重力測定の結果は標高の基準の構築に使用され、これを整備することで衛星測位で“楕円体高”を測定し、“ジオイド高”を差し引くだけで標高を簡単に、より正確に求められるようになる。

国土地理院はこれまでの測定結果を用いて試作した標高基準の図を公開しており、目標精度の3cmを達成している。同院は今回取得したデータをもとに全国の標高基準を構築し、2023年度中に試験公開する予定で、この基準を用いた標高の新しい測量方法「GNSS標高測量」のマニュアルも2024年度中に公開する予定。さらに、これまで水平方向のみに導入されていた地殻変動補正を標高にも導入し、日本列島の地殻変動による不整合の解消にも役立てる。

発表資料
https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/buturisokuchi_202305.html
重力・ジオイドウェブサイト
https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/grageo_index.html